株式会社建築資料研究社
民間企業
株式会社建築資料研究社は、1969年の創立以来、建築分野を中心とした教育と出版を手がけてきた企業である。中核事業は、建築士や宅地建物取引士をはじめとする国家資格の取得を支援するスクール「日建学院」の運営。全国67支店・直営114校を展開し、従業員数はグループ企業を含めて1,500名にのぼる。あわせて、建築・住宅・インテリア分野の出版事業も長く続けてきた。同社の特徴は、受講者に届ける講義映像を外部に委託せず、自社スタジオで企画から完成まで一貫して行っている点にある。完成した映像は全国の日建学院へ配信され、受講者の学習を支えている。資格試験の当日に解答を伝えるライブ配信など、時機を逃せない映像コンテンツの制作も担う。
〒171-0014 東京都豊島区池袋2-50-1
既存の光配線を活かして10ギガ化 映像制作の編集用ストレージを支えるネットワーク
資格スクール「日建学院」を運営する株式会社建築資料研究社は、自社スタジオで制作した講義映像を全国の日建学院に配信している。映像編集用ストレージを刷新するにあたり、同社はネットワーク基盤もあわせて再構築した。サーバスイッチには、D-Linkの10Gスタッカブルスイッチ「DXS-3410」シリーズを採用。メタルポート主体の「DXS-3410-32XY」と光スロット主体の「DXS-3410-32SY」の2台をスタックし、サーバへの経路を冗長化した。既設の光ファイバーもそのまま活用している。今回、建築資料研究社 コンテンツ制作部 映像技術課の池田氏と、構築を担当したビジュアル・グラフィックス株式会社の坂井氏、森氏に話を伺った。
<POINT>
ポート構成の異なる2 機種をスタックし、サーバ経路を冗長化
既設の光ファイバーを活かし、配線の引き直しとコストを削減
10G 化で転送が高速化し、複数PC からの同時作業も安定
導入製品紹介
スタッカブルL3スイッチ「DXS-3410」シリーズは、全ポートが10ギガ以上に対応する製品だ。10ギガ標準ポートを24ポート、アップリンク用として10ギガ SFP+と25G SFP28スロットをそれぞれ4スロットずつ備え、スタック構成時には最大200ギガのスタック帯域をバックプレーンとして利用できる。冗長構成が可能な中規模法人向けのサーバスイッチとして、多くの実績を持つ。
今回導入されたのは、10G SFP+を24スロット搭載する「DXS-3410-28SY」と、100/1000/2.5G/5G/10GBASE-Tのメタルポートを24ポート搭載する「DXS-3410-28XY」の2機種だ。この2台は、25G SFP28スロット間をダイレクトアタッチケーブル2本で結ぶスタック構成にすることで、仮想的に1台のスイッチとして運用が可能だ。編集用ストレージ「EditShare EFS」とバックアップ用NAS「QNAP」は、2台のDXS-3410それぞれに光ケーブルで接続してLAGを構成し冗長化している。Copperポートにはルータや配下スイッチを収容しており、効率的かつ冗長構成による安心なネットワーク設計となっている。
▲メタルポートで他のスイッチを収容する
「DXS-3410-32XY」
▲光ケーブルを集約し、EditShare EFSと
バックアップ用のQNAPを収容する「DXS-3410-32SY」
ストレージ刷新を機に、ネットワーク基盤をまるごと再構築
スタック機能で実現した、安心の映像制作環境
同社が長年使用してきた編集用ストレージは、導入から6~7年が経過し、保守契約も切れていた。「サポートには入っていましたが、5年で切れていました。経年劣化のせいか、転送速度が遅いと感じることもありました。また、個々に持っていたアカウントもうまく使えなくなり、最終的には1つのアカウントに皆で同時に入るような使い方をしてしまっていました」と池田氏は当時を振り返る。
後継となる映像編集作業に特化した編集用ストレージを探していた池田氏は、2024年のInter BEE会場でEditShare社製品を取り扱うビジュアル・グラフィックスと出会う。既設メーカーの後継機種のほか、別の大手メーカーの編集用ストレージ製品とも比較検討した上で、最終的に選んだのはEditShare社のEFSだ。EditShare社製品に決めた理由を尋ねたところ「価格は従来のストレージに比べて高めではありました。それでも、放送局やポストプロダクション等の映像制作業界で数多く採用されている実績、メンテナンスや緊急時の対応のしやすさ、バックアップやセキュリティの面などを複合的に見て、今回はEditShare社のEFSに決めさせていただきました」と池田氏は説明する。
編集用ストレージの刷新にあわせ、ビジュアル・グラフィックスは編集用ストレージへのアクセス基盤全体の再構築を提案したという。既存環境では、光ケーブル接続の10ギガスイッチ2台がポートトランキング(リンクアグリゲーション)接続されており、建物内には光ケーブルの配線が残っていたそうだ。新しいスイッチでも光ケーブルを使う構成にする必要があったが、ネットワーク構築を担当した森氏は、当初は光ケーブルとメタルケーブルを収容するスイッチを別々に構成し、既設環境同様ポートトランキング(リンクアグリゲーション)接続することになると考えていたという。
「ただ、D-Linkさんに相談したところ、同シリーズであればポート構成が異なる2機種でもスタック可能という話を聞きました。スタック機能を使って仮想的に1台として管理できるほうが、お客様にとっても当社にとっても設定や運用が楽になりますし、冗長構成にもできるので運用面でも安心感が増すことから、スタック構成での提案に決めました」と森氏は語る。
さらにDXS-3410シリーズを選んだ理由について、森氏はコストパフォーマンスを挙げる。「ネットワークスイッチは上を見ればきりがありません。1ギガのRJ45と光スロットを組み合わせた製品はいくらでもありますが、マルチギガ/10ギガの両方に対応したメタルポートと、10G SFP+、25G SFP28を併せ持つ製品はなかなかありません。他で実現しようとすれば、相応の金額になるでしょう。この価格帯でこのような製品があることが、D-Linkのスイッチの大きな魅力だと考えています」。
また、映像業界に10ギガが必要な理由について、「映像業界では、大きなデータを短時間でコピーする必要があります。転送を高速化すれば待ち時間を短縮でき、ストレスの軽減につながります。最近は10ギガを標準搭載したワークステーションも増えています」と森氏は説明する。
導入は2025年12月に実施した。マスターデータの移行には不安もあったため、機器をいったん仮設置して先にデータを転送し、旧ストレージを撤去したあとで本設置する手順をとった。この手順により、日々の撮影・編集業務に支障を出すことなく切り替えを完了した。
転送の高速化と、バックアップ構成を整理
「スタジオで収録している映像はフルHDで、特段重いデータではありません。それでも、スタジオから作業PCへの転送は従来よりも速くなったと実感しています」と池田氏は語る。複数のPCで同時に作業しても、ストレスを感じることなく安定して利用できているという。
池田氏が特に評価するのは、既設の光ファイバーを活かした点だ。「元々あった光ファイバーをうまく活用していただいたおかげで、事務所の配線を引き直すような余計な手間を省けました。これは大きかったです」。配線の引き直しを避けたことは、予算の削減にもつながった。
ビジュアル・グラフィックスの工事担当者の目次氏は事前に何度も現地を訪れ、当日はケーブルに札付けをして整然と配線した。「正直、これまでは余り管理できていなかった面ですが、きれいに整理していただいたおかげで、あまり知識がない私たちでも、どこに何がつながっているかが分かるようになりました」と池田氏は笑う。
バックアップ構成も見直した。作業領域はEditShareEFSから、同ラック内のQNAPへ週2回、マスターデータはIP-VPN接続されている大阪拠点のQNAPへ週1回バックアップしており、いずれも安定して稼働している。「以前は東京でも作業領域とマスターの両方を保存していました。大阪でもマスターを取っていたので、二重三重に取る必要があるのかと思っていたのですが、改めてそこは整理をしました。今回、東京は作業領域のみをバックアップ、マスターは大阪にバックアップと構成を変えました。サーバまわりもすごくすっきりしました」と池田氏は話す。
次のリプレイスが通知表
長年付き合いのあった業者から切り替えることに、池田氏も多少の不安はあったという。「既存機器に別の業者が入ったとき、どこまで責任を持つのかといった懸念はありました。それでも結果的にうまく落ち着いて、よかったと思っています」と振り返る。
構築を担当した森氏は「、導入して終わりではなく、そこからが開始だと思っています。次のリプレイスのタイミングで再び選んでいただけるかどうかが、私たちの通知表です。5年、6年と安心してお使いいただき、『そういえば何のトラブルもなかったね』と言っていただけるのが一番の褒め言葉です」と語り、長期的な視点でのサポートを約束する。
DXS-3410は、1ギガや10ギガに加えて2.5ギガ/5ギガのマルチギガにも対応する。「最近のワークステーションやPCはこうしたNICを標準搭載しているので、さらに速い環境にも対応できます」と森氏が語るように、作業PCを将来更新する際にもそのまま活かせる基盤となった。
講義映像の制作に力を注ぐ建築資料研究社のコンテンツ制作を、10ギガネットワークがこれからも支えていく。
関連製品
民間企業
