株式会社日比谷花壇

民間企業

株式会社日比谷花壇は、1872年創業、1950年設立のフラワー企業である。東京都港区の本社を拠点に、フラワーショップの経営をはじめ、ウエディングやフューネラル、法人向けのイベントプロデュース、ECにおけるフラワーサービスまで、花と緑にまつわる事業を全国約190拠点で多角的に展開する。従業員数は1,790名(2023年3月時点)。「すべての明日に、はなやぎを。」というコーポレートメッセージのとおり、暮らしのあらゆる場面に花を届けている。

〒106-8587 東京都港区南麻布1-6-30

「巡り合わせ」が結んだ一貫体制 日比谷花壇のネットワーク刷新

日比谷花壇は、本社ビルの基幹ネットワークで、既設の他社製スイッチが保守期限を迎えたことを機に、D-Link製品へのリプレースを実施した。MAC認証によるセキュリティを保ちつつコロナ禍以降のトラフィック増に対応するため、コアスイッチにL3スイッチ「DXS-3410-32XY」、フロアスイッチにPoE+対応の「DGS-1520-52MP」を採用。無線アクセスポイント向けの通信を、2.5ギガのマルチギガに引き上げる構成へと刷新した。導入の経緯と運用の実際株式会社日比谷花壇について、日比谷花壇の福田氏と、協力会社としてD-Link製品の提案から設計・構築・保守を担うソフトクリエイトのご担当者様に話を伺った。

<POINT>

  1. 本社LANの増速課題と多くの機能要件を全て満たせる数少ない製品として選定

  2. D-Linkでの構築実績豊富な協力会社と設計・構築・保守を一貫体制に

  3. 使いやすいWeb管理画面で、部署内の情報共有のしやすさが向上

導入製品紹介

今回導入された10ギガL3スイッチ「DXS-3410-32XY」2台は、コアスイッチとして採用された。この2台はスタック機能で冗長化され、25ギガダイレクトアタッチケーブル「DEM-CB100S28」を使用したリング構成で接続されている。また配下のフロアスイッチとして、10ギガ/2.5ギガアップリンク対応のPoE+給電スイッチ「DGS-1520-52MP」を7台配置。「DGS-1520-52MP」は、各フロアの無線アクセスポイントへの給電とデータ通信を担っている。「DXS-3410-32XY」と「DGS-1520-52MP」の両機器とも、マルチギガと10ギガに対応しており、現段階では幹線をマルチギガとし、将来ケーブルを張り替えれば機器を替えずに幹線を10ギガに増強可能な下地は整っている。従来機でも使用していた、MAC認証や認証フェイルオーバ、ループ検知などの機能も過不足なく踏襲した構成だ。

▲スタック構成で冗長化されたコアスイッチ
DXS-3410-32XY (上段2台)と
各階のフロアスイッチと接続された
中継スイッチDGS-1520-52MP (下段2台)

MAC認証もループ検知も譲らない 要件本位で刷新した本社ネットワーク

絞り込まれた要件と、断られた先にあった出会い

 従業員200名ほどが勤務する日比谷花壇の本社ビルでは、コアスイッチ・フロアスイッチをいずれも他社製品で構成していた。その保守期限が迫っていたことが、今回のリプレースの契機である。同メーカーの後継モデルが高価だったため、同等の機能を保ちながらコストを抑えられる製品を探す必要があった。
 背景にはトラフィックの増加もある。2020年のコロナ禍を境にリモートワークとオンライン会議が定着し、従業員や端末の数も増えた。「無線でつながることがほとんどなので、アクセスポイントにどうしてもトラフィックが集中する」と福田氏は説明する。アクセスポイントからの通信を束ねるポートに負荷が集まり、1ギガのポートでは処理しきれない場面が出ていた。店舗と提携業者との会議のオンライン化も、同じ課題に拍車をかけた。
 要件は多岐にわたった。中核にあったのが、RADIUS連携によるMAC認証である。「MAC認証は以前のスイッチからずっと踏襲してきた、弊社のセキュリティの要でした」と福田氏は語る。「ただ、認証先のRADIUSサーバとの接続が切れたときに認証が一切効かなくなると、誰もLANに参加できなくなってしまう。そのため、疎通が切れた際に認証を一時的にオフにできる『認証フェイルオーバ』の機能がどうしても欲しかった」。ほかにも、多段構成も含めたループ検知、DHCPサーバ機能、プロキシARP、スタック冗長構成、1ポートあたり200台程度の認証端末数と条件は続いた。「なかなか全部を満たすのが難しくて」と福田氏。要件を満たしつつコストも抑えるとなると、候補は自然と絞られていった。決め手の一つはループ検知の作り込みである。「どこまでをループとみなして止めてくれるのか。いろいろ検証を交えながらやらせてもらいました。既設の製品と比べても遜色ない動きをしたので、これはいけるな、と」。検証機で挙動を確かめたうえで、採用に至った。
 構築を依頼する相手探しにも巡り合わせがあった。既存の取引先に相談したところ「D-Linkさんの製品は触ったことがないから扱えない」と断られ、紹介を経て出会ったのがソフトクリエイトだった。「設計、構築、保守まで一貫して見ていただけるということだったので、じゃあお願いします、と」。ご担当者様も、ヒアリングと技術者によるポート構成の確認を重ね、自信を持って提案できる体制を整えて臨んだという。

メール通知に代わる自動化と、可視化がもたらした共有のしやすさ

選定・検証を経て、日比谷花壇は一新した本社ネットワークの運用を始めた。移行にあたり、運用ルールを一つ加えた。旧来の他社製スイッチには外付けのループ監視ツールがあり、ループ発生時に管理者へメールで通知していた。しかし新しいスイッチ単体ではこの通知機能を持たせられないことがわかり、代わりにループ発生時にポートを自動的に閉塞し、解消後に開放する「インターバル機能」で運用を補うことにした。「そこは今回新たに設けたルールですね」と福田氏は語る。運用開始後、ループが起きているか尋ねると、「わからないです。もしかしたら、どこかで自動的に閉塞しているのかもしれませんが」と話す。ただし、どこでどれくらいの頻度でループが発生しているかをメールで把握できていた従来の運用に比べると、状況をつかみにくくなった面もあり、今後のレポート機能の強化を期待している。
 運用面で変わったのが、ブラウザの管理画面からスイッチの状態を一元的に確認できるようになったことだ。「以前はそれができなかったので、我々がCLIコマンドでいろいろ調べたり、ログを取ったりしていました。ただそれだと、コマンドラインを使える人はそうそういないので、どうしても部内での共有がしづらいですね」と福田氏は話す。「WEB GUIでログを可視化できるようになり、あまり知識のない人でも、画面やメニューを見ながら共有しやすくなった」。そうした状況だからこそ、可視化の意味は大きい。「情報の収集は直感的にしやすい」とも述べ、従来のCLI運用と比べれば使いやすさは格段に上がったという。
 通信面の手応えも十分だ。「満足です」と福田氏は言い切る。2.5ギガへの刷新により、以前は詰まりがちだった幹線の状態は改善した。本社を含む一部の拠点では、ローカルブレイクアウトを併用し、インターネット向けの通信を直接外部へ逃がす構成も取り入れている。館内を通るトラフィックの量自体は変わらないものの、帯域の向上により余裕をもって処理できるようになった。かつての環境で備えていた機能もそのまま引き継げており、性能と管理性の両面が向上した、というのが福田氏の実感である。

安定稼働の先に見据える増強

 総評を求めると、福田氏は率直な言葉で振り返った。「最初はもちろん不安もありました。前の環境でできていたことが、本当にそのまま踏襲できるのだろうかという不安です。ですが、実際に入れ替えてみると、本当に何事もなく、当たり前ですが普通に動いている。安定して動いてくれているので、そこはありがたい」。求めるのは、何よりも安定である。「このままトラブルなく動いてくれることが一番ですから。将来性のある機器だと思います」と語る。
 今後の展望としては、幹線の10ギガ化がまず挙がる。回線だけでなくインターフェイスの交換や基幹ケーブルの張り替えも必要になる見込みで、コスト面からも目下は将来構想の段階にとどまる。また、無線アクセスポイントの増設も検討課題であり、それに伴うPoE+または2.5ギガポートのLAN増設も視野に入る。無線規格については、次世代のWi-Fi 7に関心を寄せつつも、当面は現行のWi-Fi 6で運用を続ける構えだ。「今のものをすぐ替えるかというと、そこは考えていません。困れば替えますが、今のWi-Fi 6で業務が回っている間はそのまま使い続けると思います」と福田氏。「利用者が本当に増えているので、通信速度というよりは無線の安定性を求めたい」との考えが根底にある。有事の際の監査ログを収集・解析しやすい運用体制の整備も、今後のテーマに挙げる。
 既存の取引先に断られたところから始まった「巡り合わせ」は、設計・構築・保守を一貫して担うソフトクリエイトとの新しい関係を生んだ。「ネットワークの増設を考えなければいけない時期が来ると思うので、またご相談できれば」と福田氏。譲れない要件を一つずつ確かめながら選び抜いたネットワークは今、本社ビルの日常を静かに支えている。

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