社会福祉法人 まりも会 清瀬喜望園

医療・介護

清瀬喜望園は、社会福祉法人まりも会が運営する、東京都清瀬市にある障害者支援施設である。施設入所支援(定員60名)を中心に、生活介護(入所60名・通所20名)や短期入所(2名)のサービスを提供している。居室は全室個室で、看護師の常駐により医療的なケアにも対応するほか、生活介護では企画活動や軽作業を中心とした生産活動にも取り組む。運営の基本に掲げるのは「多様性を敬い、人と人との繋がりを大切に」という考え方であり、地域のニーズを踏まえた地域共生型の施設運営を目指している。その象徴が、館内に設けられた地域開放スペースだ。地域住民が無料で利用でき、お茶会やワークショップ、子育て世代の集まりなど、地域住民の方々と喜望園の利用者が自然につながる場としてひらかれている。

〒204-0023 東京都清瀬市竹丘3-1-72

「良い意味で、何もない」という安心感
クラウド管理が支える介護施設の安定したネットワーク

東京都清瀬市の福祉施設「清瀬喜望園」は、建物の全面建て替えを機に、D-Linkのクラウド管理型ネットワーク機器による全館無線LAN化を実施した。UTMファイアウォール「DBG-2000」、L2スマートスイッチ「DBS-2000シリーズ」、Wi-Fi 6対応無線アクセスポイント「DBA-X1230P」41台によるシングルベンダー構成で、職員の業務から利用者の暮らし、地域住民に開放されたスペースまでを一つのネットワークで支えている。導入の経緯と運用の実際について、清瀬喜望園の管理課課長の丸山氏と、構築・運用を担う株式会社コムデンの担当者に話を伺った。

<POINT>

  1. ネットワーク専任者を置かずに全館無線LANを安定運用

  2. クラウド遠隔保守と迅速な駆け付けで運用の手間を最小化

  3. 業務・利用者・地域開放を一つのネットワークで支える

導入製品紹介

全館のネットワーク管理は、外部からも手軽に管理ができるように、すべてD-Linkのクラウド管理サービス『Nuclias Cloud』対応製品を選択したそうだ。ゲートウェイとしてはUTMファイアウォール「DBG-2000」を設置。「DBG-2000」は、さらに障害に備えて予備機1台も確保しているという。ゲートウェイ配下には「DBS-2000-28」を基幹スイッチとして設置。ネットワークを2系統に振り分け、1階と2階の各フロアに設置したPoE給電対応スイッチ「DBS-2000-28MP」と接続し、そこから、Wi-Fi 6対応無線アクセスポイント「DBA-X1230P」計41台へ電力供給と通信を行っている。2階建ての館内をむらなくカバーする構成で、全機器が『Nuclias Cloud』に対応。設定変更やファームウェア更新、状態監視から再起動までを、現地に赴くことなく遠隔で一元管理することができる。

▲ファイアウォール/スイッチ/無線アクセスポイントを
クラウドから全て管理

▲「きままにルーム」に設置された
ゲストアクセス用の無線アクセスポイント

▲配電盤内に設置された
クラウド管理型PoE+スイッチ

ネットワークを意識せずに済む毎日を、どうつくるのか

「全部届くようにしよう」-無線LAN前提の新施設と、手離れの良さを求めた選定

 清瀬喜望園の建て替え計画において、館内ネットワークを無線LANで構築することは早くから既定路線だった。旧棟の解体後、仮設の建物で運営していた時期にはすでに無線LANを利用しており、新築にあたって無線LAN導入には迷いはなかった。「建てるときから、時代的にも有線ではなく無線LAN、という話がありました。それなら全館で無線LANを使えるようにしよう、という話になったのです」と丸山氏は振り返る。
 一方で、施設にネットワーク専任の担当者を置く余裕はない。介護の現場では職員が本来の業務に集中できることが第一であり、日々の運用と障害対応を、どれだけ人手をかけずに回せるか。それが機器選定の実質的な条件にもなった。
 当初は、他社製機器によるオンプレミス構成に遠隔ログインを組み合わせる提案が先行していた。これに対し、取引先を通じて相談を受けたコムデンの担当者が提案したのが、D-Link製品によるクラウド管理型のシングルベンダー構成である。同氏は「オンプレミスで組んだ方が安くできることはお伝えしました。ただ、何かあったときの駆け付けまでのリードタイムが大きい。外から状況を覗けて、場合によっては再起動もかけられる構成はどうですか、と提案しました」と語る。
 同氏とD-Link製品との出会いは、数年前に東京ビッグサイトで開催された展示会にさかのぼる。実機のクラウド管理画面を目にして「現地に行かずに済むのは楽だ」と直感し、それ以来、数多くの現場で導入を重ねてきた。その実績が、今回の提案の裏付けにもなったという。
 クラウドから遠隔で保守できること。有償保守の費用が抑えられ、全国どこでも駆け付けが早いこと。そして、ルータから無線LANアクセスポイントまで一社でそろい、手離れよく運用できること。コムデンの担当者がD-Linkを勧めた理由は、この3点に集約される。
 なかでも、理由の一つに挙げたメーカーによる有償のオンサイト保守は、非常に使いやすいという。日常のサポートは同氏がクラウド経由で担い、万一のハードウェア障害にはメーカーのオンサイト交換対応が控える、という二段構えである。「有償保守の値段が安くて、駆け付けまでの時間が早い。それが選んだ理由の一つです。他の案件ですが、長野や軽井沢でもどこでも駆け付けてくれますね。機器が壊れても、有償保守で交換さえしてもらえれば、設定とライセンスをクラウド経由で付け替えれば復旧します。僕らが現地に行ってやるとなると、行くだけでも大変ですから」。
 手頃な価格の有償保守と、クラウド管理ならではの復旧の速さ。この組み合わせが、少人数で複数の現場を支える運用を可能にしている。

立ち上げ時の調整後は「何事もない」安定して使える日常へ

 2025年3月に引き渡され、新しい建物での業務が始まる4月1日から運用を開始した。開始直後には想定外の事象もあったそうだ。仮設時代のSSIDやIPアドレス体系をそのまま引き継いだところ、アクセスポイントやスイッチだけで多くのアドレスを消費し、アドレスが枯渇しかけたのだ。コムデンの担当者はサブネットを拡張したうえで、業務に関わる機器は固定アドレスに、インターネットに出られればよい端末はDHCPに、と割り当てを整理して解決。クラウド経由で細かく設定できたことが、この調整を支えた。
以後の運用について、丸山氏の評価は明快だ。「良い意味で、何もないですね。お任せしてしまえば、『いつ繋がらなくなるのか』という不安や手間がない。毎日チェックしないとネット環境が維持できない、というわけでもありません」
 日常の保守サポートは、クラウドからの遠隔対応が中心だ。ファームウェアの更新は、スイッチと無線LANアクセスポイントは業務への影響が少ない週末の夜間に実施し、止められないルータだけは万一に備えて朝の時間帯に立ち会いのうえで行うなど、計画的に運用されている。これまでに機器の故障もあったそうだが、いずれもオンサイト保守による交換で速やかに復旧した。
 また、無線LANの用途は、介護記録システムやiPad、パソコンといった業務での利用はもちろん、業務にとどまらない使い方もされているという。特徴的なのが、土日を含めて開放されている地域交流スペース「きままにルーム」だ。「きままにルーム」では、ゲスト用Wi-Fiが提供され、学生が勉強や調べ物で訪れたり、地域住民の集まりにも使われたりしている。
 ゲスト用Wi-Fiは館内全域で利用でき、利用者にも「ゲストWi-Fiを使って下さい」と案内するかたちで運用中だ。ネットワークにはパスワード設定に加え、SSIDを表示しないステルス化を施し、セキュリティにも配慮した。

運用開始から半年 ー 基幹の余力が生む、構成検討の柔軟性

 「『何もしなくていい』という言い方は適切ではないかもしれませんが、日常的に普通に使えていて、問題なく運用できています」。丸山氏のこの総括は、導入の狙いがそのまま実現したことを物語る。ネットワークを意識せずに済む毎日こそ、専任のIT担当を置かない施設にとって、最も価値のある導入効果だった。
 運用を担うコムデンの担当者も手応えを語る。「お客様側で製品を深く知らなくても、言っていただければ遠隔でどうにでもなります。『そんなに心配しなくても外からサポートしますよ』と言えるのが、クラウド管理型の一番の売りですね」
 今後の焦点は、快適性のさらなる向上だ。業務利用に加えて、利用者が地域の人たちまで広がった結果、時間帯によっては接続する端末も増えている。この広がりに見合う増強として、ルータ配下の系統を分割する構成変更なども一案として検討されている。D-Linkへの要望としてコムデンの担当者が挙げたのは、ルータ「DBG-2000」への24時間365日オンサイト保守の提供だ。「現在は予備機で何かあった際に交換スケジュールの調整が必要なのですが、そこに対応してもらえると交換はメーカー保守対応、クラウド設定の移行だけで済むようになるので、そうなると良いですね」と同氏は話す。
 建て替えを機に整えたネットワークは、職員の業務を支え、利用者の楽しみを支え、地域にひらかれた場までを支えている。「何事もない」日常の裏側では、クラウド管理と確かな保守体制が、今日も静かに働き続けている。

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